今週のTOPIC「塗り壁外壁材の種類と特徴」
外壁の外観に関して塗装とは違って
左官屋さんの手作業でさまざまな模様が作れるのが「塗り壁」です。
一般的に家の外壁と聞くとどのようなものをイメージというと
・サイディング
・タイル
・ペンキを塗った壁
・神社や日本家屋の白い壁
・おうぎ形の模様がついた壁
このうち塗り壁は「神社や日本家屋の白い壁」と
「おうぎ形の模様がついた壁」の2つが該当します。
「神社や日本家屋の白い壁」というと
昔ながらの日本家屋をイメージできると思いますが、
左官仕上げによる塗り壁は、1000年以上前から、
日本の家づくりには欠かせないものでした。
かつては、大工のことを「右官」と呼び、
左官屋のことを「左官」と呼び、
建築において圧倒的な地位を築いておりました。
聖徳太子が木に関わる職を「右官」、
土に関わる職を「左官」と名付けたからです。
今回は、左官仕上げの塗り壁についてお伝えします。
さて、一軒家の外壁材を仕上げる主な方法には2種類あります。
●塗り壁
●サイディング
塗り壁は、モルタルを下地として塗装をしたり模様付けしたりする工法です。
サイディングは、金属や窯業系のパネルを外壁にはりつけていく施工方法です。
では、塗り壁にはどのような利点があるのでしょうか。
◆外壁を塗り壁で工事するメリット
●世界で唯一のデザインを作れる
●独自性がある手ざわりを実現できる
●防火性に優れている
それでは詳しくお伝えします。
●世界で唯一のデザインを作れる
既製品を加工して外壁に張り付けるサイディングとは違い、
塗り壁はすべてが手作業なので細かいデザインや色味を選択できます。
お施主様のイメージや希望に沿い様々な色や塗り方を実現できるのです。
他にも、この様な工夫ができます。
・サビない金属を材料に混ぜて光で外壁を反射させる
・貝殻やビー玉を埋め込む
・自分の子供の手形をつける
まさに世界唯一のデザインで家づくりを行うことができます。
●独自性がある手ざわりを実現できる
仕上げに選ぶ材料や、塗り方で手触りも変わるので、
手仕上げ特有の温かみや質感を楽しめます。
●防火性に優れている
塗り壁の下地に使う「モルタル」は、以下の材料を掛け合わせます。
セメント
砂
水
モルタルだけではなく表面の仕上げ材も燃えにくいため、
塗り壁は防火性に非常に優れているのです。
日本の家は基本的に木造なので外壁の耐火性の強さは重要です。
◆塗り壁のデメリット
塗り壁はサイディングと比べた場合に3つのデメリットがあります。
●工事価格が高い
●ひび割れが起こりやすい
●凹凸が多くて汚れやすい
具体的に見ていきましょう。
●工事価格が高い
塗り壁は、すべてが手作りなので手間がかかってしまい工期が長くなります。
そのため、人件費がかかります。
また、材料によっては価格が高くなってしまうデメリットがあります。
●ひび割れが起こりやすい
モルタルは時間とともに
水分量が減少して体積が収縮するため、ひび割れが起こります。
しかし下塗りのあとに時間をかけて
下地を安定してから表面を仕上げることで、抑制は可能です。
●凹凸が多くて汚れやすい
塗り壁は、作業の特性上、表面に凹凸ができます。
表面に凹凸があると、汚れや雨水がたまって
黒ずみやコケ、カビの原因になります。
一般的に、塗り壁は、この様なデメリットがあります。
しかし、このデメリットを極力なくす塗り壁も存在しますので、後程お伝えいたします。
◆塗り壁の外壁の種類
●土塗り
土塗りは、土を素材とした外壁材です。
土を材料にしているため耐火性が高く、化学系の材料や
接着剤を使用していないので健康被害の心配もありません。
塗装が乾くと表面がザラザラした印象になりますが、平らでなめらかなものもあります。
配合する土や砂の種類や量により、
質感や見た目を自在に変化させることができます。
土を塗り込むため表面が崩れやすく、汚れが落ちにくいのもひとつの特徴です。
●漆喰
古くから城や蔵の外壁に使用されていたもので、石灰に粘土を混ぜ合わせた材料を使います。
不燃性や耐久性の高さと、白色で綺麗な仕上がりが特徴です。
色が白いため、かえって汚れが目立ってしまうケースも少なくありません。
破損がなければ、10年から最長30年ほどは補修が必要ありませんが、
ほかの素材と比べると費用がかさむというデメリットはあります。
●モルタル
一般的にはモルタル外壁と呼ばれており、
セメントや水、砂などを混ぜて素材を作ります。
モルタルで施工したあとは塗装を施します。
素材の価格は安いので、外壁材として用いられるケースが多いです。
表面にひび割れが生じやすく施工後8年から10年経つと補修が必要になるため、
ほかの素材に比べると耐久性は低いといえるでしょう。
★西洋漆喰
世界的に見れば、漆喰は日本以上に内外装材として使用されています。
特にヨーロッパでは昔も今も漆喰が多く使用され、
イタリアやフランス・ドイツなどは、漆喰建築が多く、
私たちが魅せられている風景は、漆喰の風景といってもいいほどです。
ヨーロッパの漆喰仕上げは単一な日本の漆喰仕上げと異なり、様々な漆喰仕上げがあります。
繊細で美しい漆喰磨きもあれば、住人がハンドメイドで塗る、
粗く手触り感のある漆喰もあり、まさに様々で多種多様です。
現在、国内においても伝統的な日本漆喰だけでなく、
海外の漆喰仕上げのような多様性、新しい発想の漆喰が
消費者の選択肢を増やしています。
従来の漆喰に対する印象は、西洋漆喰により
「自由」や「手軽さ」「多彩」など、より柔軟で現代的になってきています。
また、世界シェアNo1のドイツ漆喰は、ひび割れや、汚れに強く
建築業界で唯一の外壁保証がついている場合もあり、現在、注目の塗り壁の外壁材です。
◆まとめ 塗り壁の外壁はデザイン性がバツグン
塗り壁の工事は基本的にどの仕上げ方法でもサイディングに比べ価格が高めです。
しかし、職人のセンスやあなたのイメージひとつで、
「ありそうでどこにもない壁」や
「オリジナリティあふれる塗り壁」に仕上がります。
塗り壁を作る「左官」の技法は奥が深く、材料ひとつで表情がまったく変わります。
サイディングや内装のクロスとは違って自然由来の材料でアレルギーが起こりづらく、
環境にもやさしいのも塗り壁の魅力のひとつです。
世界で一つだけの外壁にデザインにしたい人はぜひ塗り壁を選んでみてください。
それでは、また!!